水景の学術研究所

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レポートと論文の違い 〜レポートの書き方の基本〜

 

 最近では、高校生の頃からレポート課題を課す学校が増えているそうです。

 大学へ進学した後も、自力で書けるようにという狙いもあるのでしょうが、

 現実として、レポートは書けても論文が書けないという人も少なくありません。

 

 

 今回は、レポートと論文の違いについて、

 特に、レポートの書き方についてのお話です。

 

 

 

 

 1 レポートと論文は、そもそも「目的」が違う

  いきなりクライマックスですが、

  レポートと論文の決定的にして最大の違い、それは「目的」です。

 

  レポートは、既存の事実を整理整頓する作業であるのに対して

  論文は、様々な情報を組み合わせて作る無から有を生み出す作業です。

 

  度々、両者は「料理」に喩えられることがあります。

  レポートは、レシピ本を参考に料理をするイメージ。

  論文は、オリジナルレシピを考えて、美味しく作るイメージ。

 

  これが、レポートと論文の違いです。

  しかし、この違いをしっかり区別できていないと、

  論文がレポートのような出来栄えになってしまうなんてことも多々あります。

 

 

 2 レポートに「面白さ」は要らない

  もう少し、踏み込んだ話をすると、

  レポートに「面白さ」は要りません。むしろ、邪魔です。

 

  ただ、目の前にある事実を淡々と整理整頓することに集中するだけです。

  例えば、目の前に10枚のカードがばら撒かれていたとして、

  そのカードを1〜10の番号通りに並べて束にする作業がレポートです。

  この作業に、何か「面白さ」を差し込む余地があるかといえば、ありません。

 

  先の料理のイメージにしても同様です。

  レシピ本を見ながら、作るだけで1品出来上がるのだから、

  レシピの道筋から外れてアレンジする必要性があるかといえば、ありません。

 

  しかし、勘違いしてほしくないのは、

  レポートを書くことが決して簡単だというわけではないということです。

 

  既存の事実を淡々と整理整頓するとは言っても、なかなか難題です。

  先のカードの例で言えば、

  1〜10くらいの規模なら大変ではないかもしれませんが、

  1〜1000の規模になると、大変なのは容易に想像できるはずです。

 

  大学の講義などで課されるレポート課題は

  大抵1〜10、あるいは多くても1〜50くらいの規模の整理整頓ですが、

  論文執筆に際して、基礎段階でレポートをまとめるなどの際には、

  1〜1000くらいの規模になることなど、ざらにあります。

 

  ここで、

  レポートを素早くまとめるテクニックとして、グループ分け法が有効です。

 

  やり方は色々ですが、

  私流のやり方は、暗記カードを使います。

 

  暗記カードの表面に「既存の事実となる事柄」を、

  裏面に「その事実が示すグループ」をそれぞれ書きます。

  そして、ひとしきり事実が出揃ったら、裏面のグループを見て、

  同じグループ・似たグループで仕分けをしていく。それだけです。

 

  この作業をする過程で、

  同じグループだから、事実Aと事実Bは統合できそうだと思ったら、統合する。

  グループが違うから、事実A+Bと事実Cは別個にまとめるべきと判断する。

  このような感じで、精度の高い整理整頓ができていくのです。

 

  このやり方の具体的な方法は、次回以降に改めて紹介しますが、

  ここで抑えておきたいのは、レポートとは、整理整頓であるという1点です。